落下傘/三田九郎
 
ときどき

形容する言葉ひとつ

思いつかない

落ち込む

ただ 落ち込む

慌しさの空白に

ふと気がついたとき

落ち込む

とことん 落ち込む

どんどん 落ち込んで

底なんかずっと

ずっとずっと前に

抜けちゃったはずなのに

まだ

まだまだ 落ち込む

一体

どこまで落ちていったら

落ち込む

ということがなくなるのだろう

ときどき

やたら

落ち込む

これでもか

これでもか と

もっと

もっともっと底があるのか と

唖然とする

生きるとは落ちること

その台詞が嗤えないほど

落ち込む

今日も 落ち込む

明日も明後日も

劇的に 落ち込む

それでも

落ち込んでも

落ち込んでも

なにひとつ変わらず

笑ってみせる

のだ
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