[あきめくら]/東雲 李葉
 
枯れた葉っぱのこすれるおとは雨のおとに似ている
かわいているのにぬれたおと
ざざあざざあ、ざあざあ、ざあざあ
もう袖をのばさないと指先ひえて
じぶんの温度もわかんなくなる

おひるまにも見えてる月の
しろいしろい
淡雪 を 思い出させる
しろいしろい
端からのぞく君の素肌の


あいていても思ったより見えてないめ


きみはぼくの瞼をふさいで
(ぼくの短い睫がきみのやわい手の平にあたる)
「これは何のにおい」
って


なんてなんてあまいみつ


「わかんない」
って
きみの手の平うばったら
「うそつき」
って
ぼくの目玉をえぐるしぐさ
かたい爪をやさしく立てて
こぼさぬ様にくずさぬ様に そっとそっと

烏がカァ、と一声ないた
きみの輪郭がゆらぐ夕暮れ
秋めく、ら
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