一人で終わる/テシノ
 
けれど、足を引きずって歩く猫を
助けたいと叫ぶ子供に
何と説明し
どう納得させればいいのか
私にはわからなかったのです。

なので
見なかった気付かなかったことにして
そのまま忘れてしまおう、と。

通りすぎようとする私になおも
子供は叫びます。

助けないの!?見捨ててしまうの!?



その時、声が落ちてきました。
いいえ雨降るようにではなく
それは落雷でした。
ドカンと一発、頭の上から
まるで私を叩き潰すかのごとく



違う!あの猫は今、一人で歩いているんだ!



その瞬間、振り返ると
猫はただ
自力で歩く一つの命でした。

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