旅の果て/木の若芽
 
「旅の果て」
              木の若芽


寒さをこらえて目覚めたら
そこは雨けむる高原
陽とともに雨音は鳥たちのさえずりに変わり
澄んだ空気はますます清澄に
いきいきと流れ始めた

やさしい やわらかい ゆたかな
落ち葉と朽ち木と苔の大地を
恵みというほかなんと称えよう
そこから伸びそびえる大木たちも
やさしいなつかしい姿で
ようこそと声かけてくれた

くずれてゆく天気の下でも
草木のたくましさをいつもと違う姿に感じる

近づいてくる
今までとちがう
もっとはるかでたくましくたしかな
地球の内からの声が
背筋おののかせ
ほほ笑みが少し
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