202号室/佐伯黒子
ウォーターベッドに溺れていて、誰もたすけてくれやしないよ。
深夜まで待っていたのはいいけれど、
ここは永遠だったから、誰にも見つけられなかった。
揺さぶられて
あくる日、偽物の方が美しいことを知るんだ。ぼくらは今までいったい何を選んできたんだろうね。何がよろこびで、何を不幸と呼ぶのかな。お互いに解っていたけれど口に出せなかったことがあるよ。なぜって。なぜって言葉にできなかったからさ。それをなんて表現すればいいかわからないもの、あるじゃないの。わかっていても、いても、なんで、いつも、
ウォーターベッドの中で、金魚が死んでるよ。
取り出していいよ、取り出してよ、はやく、
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