仕事/ブライアン
西の空、山の先がわずかに明かりを残している。周囲のビルの明かりは灯されていた。西の空が青と言えなくもない色から、闇に変わる。エレベーターホールから覗く外の空はすでに夜だった。自動ドアの前まで歩く。ドアが開く。外気が一気に押し寄せてくる。冷たい空気だった。隣の店の明かりが歩道を照らしている。正面からやってくる自転車には、女性が乗っている。彼女の露出した太腿が、夜の中に白く浮かぶ。彼女は、イヤホンを取り、こちらに目を向ける。と、そのまま過ぎ去った。
地下鉄の駅へ階段を下る。足音が響く。京都へ来たのは初めてではない。夕闇を越えた京都は、懐かしさよりも新鮮さを含んでいた。もうすぐ木々から落ちてくるだ
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