(仮)/
ことこ
路線図の名前をとおりすぎるたび夕暮れの記憶となって
建設中のクレーンをかすめる金属音の反響
かりそめの服を着たらもう祖父の葬式だった
東京は暮らし辛いねと母が呟き
落とした花を持て余している会席料理の最中
知らない親戚が集まりみなが祖父を知っていた
かたちのないものばかりが空気を満たしていて
私たちは生きていた(かりそめの体で)
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