冬と手/
木立 悟
手をのばし聞こえる前に降りる羽
小さな戸あふれ出ぬよう閉じてゆく
見えぬまま目の奥の闇ほしがる手
夜の外また夜があり胎があり
打ち寄せる淡い液果つ蟲の径
骨の下やわらかな蒼そよぐ原
壁へ樹へ陽は血に花に散り笑んで
誰が知るはじまりの日を負の枝を
冬ひろう小指に音はついてくる
夜は記す火口湖の淵すべての名
ひだりうで夢の終わりの色を塗る
手をのばし層をつらぬく羽あびる
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