曖昧さをかかえて/かんな
ありのままの
星空よりも
ふんわりと雲のかかった空を見上げ
満天の星空を
想像する方がきれいかもしれない
ありきたりなことだけれども
わたしたちの想像力は
ある種の創造力よりもずっとずっと鮮明だったりする
どんな物事にも対極がある
その最たるものは男と女だろうか
いやもうそれは曖昧か
宿舎の片隅にある、とても古びた
ある雨の日
そのドアを―傷だらけのドアを夜中に叩いたのがきみだった
ふたりきり
というのはどういった表現なのだろう
そうふたり
酔っぱらった酒臭い息を吐きながら―きみは彼女と喧嘩中
真夜中の散歩の約束を忘れていたのか
覚えていたのか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)