ツタンカーメン展と娘/夏美かをる
夏休み最後の日曜日
娘達を連れて出掛けた『ツタンカーメン展』
それまで静かに私の後をついて来ていた下の娘が
王妃の小像の前で時突然口を開いた
「ママ、これは何?」
「これは、大昔のプリンセスだよ」
「まだ生きてるの?」
「ううん、もうとっくに死んでるよ」
「これって本物?」
「本物だよ」
「えっ!じゃあ、死んだら体が縮んじゃってこんなになっちゃったの?」
娘の大きな声に
周りの人達が?ふっ?と反応し
薄暗い空間に滞っていた空気が一瞬揺らいだ
人が死んだらどうなってしまうかも分かっていない娘
百より
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