夜の鯨/ねことら
 




うまくいかないことがある。
うまくいくすべを、手放しているのかもしれない。


ふたりは、ざらざらした石球のなかでしんとしずまっている。
目はそらしたまま。夜に落とされたポイント。ふたつの波紋。


奥に留まっていたいのか、出てきたいのか、まだわからない。
想いを沿わすことにつかれたら終わりだろうか。
風景は石のように意味を失うだろうか。


窓辺から頬にやわらかくあたる十月のつめたい風に、祈る。




だらしないバスローブのような影をずるずるひきずってあるく。
僕はリップクリームをたべるように唇に塗りたくり、
きみはミネラルウォーターに数
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