メモ/モリマサ公
誰かのものだったり
誰のものでもなかったりする声
くりかえしている
くりかえしながら
欠けている
あかりがはじけて
暗闇のチェインソウが鳴る
町の底
いろとりどりの旗がゆれて
水玉模様にのめりこむ顔たち
うらがわを
捨てられた時間が
およいでる
わたしたちはみんなどこか欠けていた
むこうには誰もいなかった
あそこには誰もこなかった
死んだ猫の瞳あいたまま
海にとびこんで喪服が重くなる
わたしたちはみんなどこか欠けていた
むこうには誰もいなかった
あそこには誰もこなかった
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