遠くの山/朧月
 
山がすきだ
遠く離れた場所で
ただながめているのがすきだ

けわしい道も
おそろしい生き物も
触ればかぶれてしまう植物も
いない場所から
のぞいているのがすきだ

山はこばまない
のぞかれていようと
無視されようと

こんな私が
踏み入れたとしても
されるがままになるだろう

山から生まれた
私たちは
山にかてるはずもない

ひきつけられている
勝手に慕われていても
山は私たちに
いろんな顔をみせてくれるのだ
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