/鯉
まま、それじゃあ、と切り離したGの目はずっとおれの背中を見ていた。それにおれはずっと気づいていた。おれは頭を抱えながら自転車を走らせて、家に帰ってから自涜した。浄瑠璃の人形みたいに空っぽになったGの胴体に、射精し続けるさまを妄想しながら。
ゲロが目に飛び込んだ。おれは告発された。目の前に吐いたばかりの吐瀉物がある。横目に笑われた。えずきながら、涙を流しながら、ひとりでにチューハイの缶を持つとイッキコールが湧き上がる。すっぱいにおいが漂って、Gの生首だけが笑う。おでこに傷跡いちにいさん。四肢と股ぐらがスラップスティックみたいに並んでいる。首のない少年たちのからだがそれを犯している。カーステレオ、流行りのバンドが流れてておれはGの愛液を飲み干す、イッキ、イッキ、イッキ、イッキ。蚊がビュビュビュ飛び回るが小蝿だった。ハゲタカのようだ。たばこを吸ってから蚊が異様に集ったのを思い出した。おれはGを飲み干している。そして吐き戻す。何度も。きっとあいつはとっくに乾いて死んでいるだろうし、生首は近視でぼやけてよく見えない。でも、けっこうかわいい気もしてくる。
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