カラスの死体/灰泥軽茶
この前山の道で見かけたカラスの死体は
ポトリと落ちていて
なんだかとても温かくて幸せそうな死体であった
私はカラスを不吉や気味が悪いというよりは
小生意気な賢い奴であり
あぁ死んじゃったけれど
なんだかとても優しそうな雰囲気だったなと
心に残っていた
それはたぶんに私の願望であり
まわりの人間を
そんな気分にさせられる死を迎えられたいいなと
翌日にも同じ道を通ったが
気配の欠片もなく消えていた
そんな気分にさせられる死を迎えられたらいいなと
カラスの死体を思い出す
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