黒焦げ/三田九郎
 
人生に放火して黒焦げになった

うつろな影をひっつけてずるずる歩く

酸いも甘いもあいまいだ

夢も希望もあいまいだ

焦げた歴史がべりべりと剥がれ落ち

心の暗黒だけが確固としてここにいる

芯まで煤になっちまった

微風で解けそうな身体を引き摺り

あいまいな日々に一条の光

幻影かもしれないものに

魂が追いすがる

まだ

まだ

死んではいない
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