オッド・ダイアグラム 4/平井容子
 
見る/ひとりきりにさせてごめんね/(無音)/声を見てそばにあるヒジリからだめにしていく/ここで歌うために生まれてきた嘘だった/今しがた伝え終えてそのまま/自由律の月が落ちていく

ライオンを解体して右目から順に転がしていく/夜へ/わたしの骨はトーチになり/明け方には跡形もない綾だ/電磁の砂が舞って踊り/眠る椅子のうえへ降り積もっている/死んだ性根へも語れ/幼いおとなはまだ両生類のかたちで首をかしげ/笑っていなければ、とたてがみが唸る/やわらかな/ベタ/びろびろと伸びていく/ここはフェイク/だけどあたたかなベッド

/伝統を守って声を失ったおうむが/ヤドリギに決めた腕に嵐がくる/もう見えなく
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