オッド・ダイアグラム 4/平井容子
逆さまつげの生えた道を丁寧にグルーミングする犬の/バイタルサインを見逃して/睡蓮の咲くバルコニーで破滅的な行事に従事する女よ/どの恒星からも均等に遠のいて/寄り目の思考をダウンロードする/サイレンは癖になって/とりわけ嫌な周波数で待ち構えた年子の親子に乱射する/残るは黄色い羽ばかり
ソ・ラ・ダーダ/想像上の生き物の手綱を引いて/鬼子母神をかくまうことはできても/あの橋を渡ることもできない愛だ
鋼鉄でできた風船が割れて/そこから一糸乱れぬうじの行進が始まる/わたしたちにはまえもうしろもない/その航路にのっとって進みなさい/砂のように軽くて枝のようにしなやかなものを両肩から生やした魚が陽炎を
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