ただ
青いだけじゃなかった
あの頃の空に心は
どこまでも焦がれていて
その日差しよりもはるかに
まぶしく映っていた
誰だって一日空を見上げない日はあるって
あなたはやっぱりまぶしそうに空を見上げ
そのくせ焼きつくような視線で追いかける
それを一緒に見たくても
重ならないのはきっと
それがもう残像だから
そうやって夏空は
夕焼け色の方へ
ゆっくりと流れていった
あれからもう何年もたつというのに
ときおり忘れたように見上げた空が
苦しいほど青いときがある
それは
あの頃の空に焦がれていた心が
空に焦がれていたように思えただけで
本当は
あなたに焦がれていたことを
そっと思い出したくなるからなのだと
夏空は
またゆっくりと季節を変えながら
一つ遠くへ去ってしまう