駄作について/三田九郎
 
けを見せて生きていきたい。ひとりでいるときはぐだぐだであっても、人前に出るときはそれなりに気を配り、体裁を整える。人生と同じで、詩も、駄作(悪い面)はできるだけ見せたくない、という気持ちがむくむくと湧いてくる。

 けれど、人生だって悪い面もたくさんさらけ出しながら生きていくのがむしろ自然だ。取り繕い続けて生きるなど、できるものではない。詩もきっと同じだ。駄作でも良いから発表し続けたい、と思う。駄作であってもせっかくこの世に生み出した言葉なのだから「残したい」という気持ちもあるし、反省、考察するための材料として、詩を書く力を育んでくれるともと思う。

 自分なりに上手くできたと思えるものでも誰からも褒めてもらえないこともあるし、下手だ、失敗したと思うものを褒められることもある。それもまた、詩を書く面白さのひとつであり、人生にも同じことが言えるのではないかと思う。
戻る   Point(2)