しくみちゃん、リボンをさがす/御飯できた代
までいた裏庭の焼却炉が見えた。机の脚跡が4階からもはっきり見えるもんだからくすくす笑っていると、そこに偉い先生が現れた。
せんせいもぐるぐるしちゃったのかなとあゆいちゃんは考えたけど、どうやら違うようだった。偉い先生は一直線に焼却炉に駆けていって、その扉を開けた。あゆいちゃんが瞬きしている間に先生は焼却炉にすっぽりはまってしまっていた。あっ、と声をあげる間もなく先生は扉を閉めてしまった。あゆいちゃんが心配のあまり立ち上がると扉がゆっくり開きはじめた。先生は変わらぬ姿のまま顔を出した。けれど、ごそごそとポケットをまさぐって赤いスカーフを取り出すとそれで自分の顔を覆い、また焼却炉の中に消えてしまった。しばらくすると煙が立った。
しくみちゃんはおひるの時間にやっと戻ってきた。「みつかった?」あゆいちゃんが尋ねると、誇らしげに「そんなものは最初からなかったのよ」と言った。あゆいちゃんはそれを見てにっこりと笑うと、「それじゃあこれはわたしからのプレゼントだよ」と、しくみちゃんのセーラー服に赤のマジックでリボンを描いてあげたのだった。
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