黒髪/三田九郎
 
車窓を流れ去る町々に物憂げな視線を送る

焦点は景色の向こうで結ばれているようだ

トンネルに入ると車内が暗がりに浮かんだ

どこかの窓が開いていて走行音が反響する

彼女の瞳が一瞬だけ僕を捕まえたみたいだ

初秋の青い風に流れゆく黒髪と僕等の孤独
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