下らないもの/HAL
なにに於いても高尚なものだけが
ひとのこころを救い癒すものではない
能動さを求められず受動さだけで
なにも考えずいられる下らないものにも
背負う生の重さを軽くしてくれる力があることを
高尚と知性こそがひとが身につけるものだと想うものは
下らないものを高尚な言葉で知的な言葉で
本質を見抜けずただ鋭く批判して満足する
これは高尚 これは高尚ではない
これは知的 これは知的ではない
そう想いながら日々を重ねていくと
この世にある多くのものが下らないと錯誤し
そして自分が高尚なものや知的なものに
こころが蝕まれやがてなににも反応しなくなる
そして虚無
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