うたげ にて/
芦沢 恵
長い冬が明けて
やっと雪解けのときをむかえましたね
悪い夢をみていたのだと
すべてを水に流し 再出発です
おめでとう
悪い夢 儚い夢 叶わぬ夢
夢の間の擦過傷を舐めて癒して温めて
迎える雪解けのうたげで
静かな微笑みも 落胆も
惜別の悪心さえ 届かない
雪解けの突然の雪崩は
穏やかに この足元をさらって
二度と立ち上がることのできない
大きな痛手を与え そのくせ
明るいお花畑を ね
もう よしましょう
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