月の裏側の匂い/yamadahifumi
風にゆらめく炎
・・・一体、お前は何を思い出したのか?
夢の中の歌詞
「忘れられない」と誰かの言葉
光は夢を見る 唐突に
言葉は矢を射る 突然に
俺は言葉の雪崩の中へと、身を崩し
あの日に全てを失う用意をしたはずだった
褐色の異国の少女は頬を赤らめ
朝焼けと共に少年に想いを伝える
少年の眼差しは決然とし 未だ
朝焼けの向こうに夢を見ている
サラリーマンとなった俺にどんな夢が許されようか
この都市の森、電脳の森に
どんな愛が育てられようか
俺は俺を失うことで唐突に跳躍する
俺は月の裏側の匂いを嗅いだただ一人の男だ
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