嘔吐/隠喩/empty
無数のマロニエ/或いは樹木の香り
世界がささくれ立ち
保湿して、
穏やかに錯綜する朝が現出する
そして秘めやかに抑揚のない朝が消え
世界は流れ弾き熟れる
無数の弾道がわたしを貫く
一瞬にして
世界は軌道を逸らすことなく飛翔する
世界は永遠の駒鳥を手で弄んでいる
玩弄する
積載の/秘めやかな/ただ終わりへの隠喩を抱えて
嘔吐する
静かに
音もなく
穏やかに
恰も懐胎であるかのように
/ただわたしの中で死はまだ新しい隠喩を滴らせているから
世界の雫はただ一定の澪となり
無数の世界の岸辺に放擲された種子のように
燃える燎原の野原のように
無限の光を携えて
この場所に来るのだった
永遠こそが/
刳り貫かれた視界の中を流れる
静かに
ただ秘めやかに
/その隠喩を解体する
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