歌いつづければ/木の若芽
「歌いつづければ」
木の若芽
台風が何事もなく過ぎた朝
日が昇り 一掃された世界に光がしみこむと
歌い出す いのちの声
「歌いつづけなさい
書きつづけなさい
詩いつづけなさい
詠みつづけなさい
声を出しつづけなさい
伝えつづけなさい
喜びと勇気をもって」
私はかつて草原の国の詩人だった
青々した草にパオをたて
たき火を燃やし歌った
言語を越え国境を越え人種を越えて
その歌はこの国にも伝わり響いた
あの草原を砂漠にする人類に向かって
歌い伝えつづけよう
人類であるわたし自身に向かって
歌い書きつづけよう
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