「卒業する」/ベンジャミン
大学合格の連絡をうけて
「おめでとう」くらいしか言えない僕です
嬉しさのかたわらで
ひっそりとたたずむ淋しさを
どうしても感じずにはいられない
卒業式は三月
けれど何かを卒業することは
そんな日付けによって決まるのではなく
新しい一歩を踏み出すときに刻まれる
「おめでとう」
きみは立派に頑張って
そしてもうじき僕を卒業してゆく
たぶんきみはまだ喜びの中
おとずれる卒業の日をまだ知らない
「おめでとう」
きみを中学の頃から知っている
高校三年間のささいな出来事のいくつかも
きみが覚えているように覚えている
それがきっと淋しさに姿
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