あんな思い出のせいだろう/飯沼ふるい
 



そしてついには
梨の白い花弁や
ドン・ヘンリーの歌声や
夕陽を背にした吾妻小富士の暗い影が
原/油タンクの側
板に つ、突き刺さ

刺さ

っているのを
 見て
   しまう


 
“I had to find the passage back to the place I was before… ”



あぁ、これはきっと
「いつかあの頃」へ戻れないことへの
哀しさや焦燥に気付いてしまった
僕が見たまぼろし

法規やJIS規格に分化せられた
複雑系の世界で
居ないふりをしていたが
ついに耐えきれず表出した
本物の感傷 

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