眼鏡とブックカバー/
三田九郎
眼鏡変えたんだね
え、あ、うん、
戸惑いを読み解かれてしまいそう
恐怖、羞恥、快感が
音を立てて入り混じっていく
アップル、
オレンジ、
マンゴーも入れてみました
時折、宙を泳いでは
文庫本に落ちる視線
なに読んでるの?
ペースをくくるわずかな音
存在が溶け出す吐息
訊きたくて
訊けなくて
もだえて
笑えた
音を立てて入り混じる
眼鏡と
ブックカバーと
あなたと
わたし
昼と夜が
溶ける夕闇
手を繋いだ
九月十日
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