送電線をたわめて/紺野 夏槻
 
送電線をたわめて
音階をすこしだけ揺らす、風
それは記憶の
中にだけある透明

もうどれくらい
わからなくなっているのだろう、わたしは
君のやさしさをひとつずつ踏みしめながら
風に向かって歩いている







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