宇宙樹の秋/木の若芽
「宇宙樹の秋」
木の若芽
やわらかな陽の入ってくる林の道
耳をすまそう
耳に手をそえて
鳥の声がひとつひとつ
きわだって聞こえてくる
高い声 低い声
陽気な声 のんびりした声
せっかちな声 甘い声
ひとつひとつの声がいのちのよろこびをうたいたくて
ああして
つやのあるくすの葉
かわらずにこんもり茂り
小鳥の隠れ家になっている
きっとたくさんの種類の鳥がこの一本のくすの大木の中
かくれんぼして呼び合っている
秋の陽の下
もういいかい チチッ
まあだだよ ヒュルル
もういいよ クイクイ ピョロピョロ
鳥は飛ぶとき光る
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