Home away?/りぃ
無くしたのかな。
もうずっと昔に。
無くしたのよ。
ついさっき脆く崩れた家の中で。
Home away?
はだしの足を冷たく刺した。
雨が私を溶かした。
それでも走った、足があったから。
目の前に見知らぬ人が立っている。
傘は穴だらけで、それでも私を見ていたから。
掴もうと試みた、腕がまだあったから。
一面水色。
その人が言うかもしれない。
つかめない腕を伸ばすかもしれない。
期待は私を喰い殺すだろう。
けれど、それ以外、何も無い。
冷たい感覚を失えば
貴方の事を忘れられると思った。
自分勝手に、そう思った。
思い出せない。
もう体が無くなるから。
もう私じゃなくなるから。
腕は、手は、足は、顔は、消える。
貴方の言葉を聞きたくて
耳だけ残しておいたわ。
だから言って。
一面水色
水溜りが空を映してる
崩れた壁
彼方に虹がかかるよ。
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