火の鳥/結城 希
 
火炉から伝わる振動で
室内の空気が震えていた
重い隔壁に遮断されているにもかかわらず
バーナーの熱が 鼻を焦がすようだった

 外では
 遮るもののない太陽が
 青空にただ一点 光と熱を放っていた

硬いジュラルミンの台に 足を乗せ
隔壁にある たった一つの小窓を覗く
そっと
私を育ててくれた人が
幼い私の肩を 抱いてくれた

火が吹き荒れていた
上下から噴く炎が 炉内を緋色に染める
その中心で 炎に包まれた何かが
ゆらゆらと揺れていた

かつて人であったもの
私が よく知っていたはずの人

棺はとうに崩れ去り
私たちが添えただろう花々も
かけらと
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