朝/らいみ
すごく急いでいたのに
急いでいない人が前にいて、
その人を追い越してまでは急ぎたくなくて
その人のお尻を見ながら階段を上がった。
日比谷線の車両の扉から
階段を少し上って、改札口まで
改札から階段を上がって、駅前広場まで
ほんの一分もかからない距離
それが永遠に思える。
ああ、いったい何を急いでいるんだ?
このお尻のお姉さんは、ゆっくりしているじゃないか!
ふわふわのフェイク・ファーをゆったりと首に巻いて
不揃いのドットが並ぶセーターを着ている
つやつや栗色の髪を、時間をかけてセットたにちがいない
カールが生き生きとはねている。
Gパンは微妙に下目
背中
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