under/イシダユーリ
夏
おそいかかります
路地では
放水があって
みなが
逃げた
きみのくれた
お菓子には
黴が
はえていた
唾ごと
吐きだして
何度も
コンクリートに
頭を叩きつけて
謝った
取り返しのつかない
ことをしてしまった
「これって よくできた CGじゃないの?」
思っていたんだ
と言っていた
夏
路地に
転がっている
身体に
顔を寄せて
胸が上下している
「安心した」
明日には
もう白く冷たく
なってしまっているかも
しれないのに
「助けない」
諦める は
諦めない を
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