嫌悪症/HAL
もういまの世代には
なんのことって言われそうだけど
昔々プロテストソングなる音楽擬きがあった
それは殆どフォーク・ギターを遣い歌われるけど
馬鹿みたいな音楽のようにぼくには聴こえた
それは自分に酔ったアジテーションであり
安っぽい言葉の並ぶ演説でもあった
ひとを欺く大安売りの檄のようでもあった
でもどうせ演るならサイゴンの
マジェスティック・ホテルの前でいつテト攻勢が
起こるか分からない場所で演れよと想っていた
銃弾の飛んでは来ない安全地帯で
戦争反対を叫ぶ愚かしい偽善
一種のジャンク・フーズの様な
日持ちのしない言葉と単純コード
いかにも正義然として
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