大人/乙ノ羽 凛
眩しい日差しの中ビルの陰に隠れて歩いていた
排気ガスの匂い包まれて陽炎に不快を感じながら
首に滴る汗を感じてじりじりと焼けるような
コンクリートの地面を一歩一歩進んでいた
歩いてる途中に開いてる店の入り口から
一瞬感じる冷やりとした感触を無視して
電車の遅延に巻き込まれざわついた中で
一人思い出していた少年だった頃を
眩しい日差しの中麦わら帽子をかぶって
虫取り網と虫かごを装備して
青々しい緑に包まれて木の陰で
木々の匂いがする風に包まれてたのに
電車が復旧したのにも気づかず
ホームに流れたアナウンスでハッとした
俺はなってしまったんだよ「大人」に
なんだか一瞬、胸がきゅーっとした
戻る 編 削 Point(1)