大人/乙ノ羽 凛
 
眩しい日差しの中ビルの陰に隠れて歩いていた
排気ガスの匂い包まれて陽炎に不快を感じながら

首に滴る汗を感じてじりじりと焼けるような
コンクリートの地面を一歩一歩進んでいた

歩いてる途中に開いてる店の入り口から
一瞬感じる冷やりとした感触を無視して

電車の遅延に巻き込まれざわついた中で
一人思い出していた少年だった頃を

眩しい日差しの中麦わら帽子をかぶって
虫取り網と虫かごを装備して

青々しい緑に包まれて木の陰で
木々の匂いがする風に包まれてたのに

電車が復旧したのにも気づかず
ホームに流れたアナウンスでハッとした

俺はなってしまったんだよ「大人」に
なんだか一瞬、胸がきゅーっとした

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