きみが架空の主人公/しもつき七
あとふたつ。
戦うきみの目は虚ろ、息も絶え絶えで、対峙する敵にあわせて百個く
らいあるモードの、だいじなひとつがみつからない。どうしよう、怪
獣はすぐそこ。火を吹きながらこの街を破壊しにやって来たのに!
きみはいたって冷静に叫ぶ。世界を救えるのは私しかいないの。
そんなことないのに。っていうかいつからロールプレイング?
セーブできないし、記憶にものこらない、キャラクターじゃないし、
文字でも記号でもない。自己紹介です。だから、空がどんどん光っぽ
くなっていって、起き上がった朝のかけがえなさに、ほんとはちょっ
と感動したりもするんだけど、いわない。だっ
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