されづ/蒼木りん
生きた恋の詩を書けなくなった貴方は
いまは
何を温めている
嘗て
こころの底から絞り出た声は
擦れながら響いて
響いて
私の胸までも届いた
呟くように
弱く
しづかに
語り合ったこともあったではないですか
ほんとうの貴方は
そこにはいなかったのですか
そこにも
いたはづでしょう
死んだ恋を想いながら
死んでしまった恋だから
あの詩は
貴方の作品にしてしまったのでしょうか
夜露
月光浴びて泣いた痕
捩れた老木
伸ばす手に蕾つけることも為らず
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)