深紅の風/マーブル
には
まあるい夢物語が映っては
きらきらと息をしているようでした
人々は自然に黙り
その様子にみとれ
言葉を発する前に
涙を流すようでした
涙も景色も呼吸をするのでした
いつかわたくしたちは
草原の少年少女でした
何処までも茂る草原に
寝ころがり流れては
ちぎれ手を振って旅に出る雲たちを見上げたり
そうです
草原の先には海が見えました
何もかもが透きとおり
みずみずしい瞳を自由に
はためかせておりました
パパが亡くなった時
わあんわあんと泣いた
あの日さえも
瞳はいつでも
海色をしていたのでした
潮風を浴びると
パパがいつか云っていた
涙の産まれたところを
思い出すのです
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