その他大勢の中の孤独という事。/永乃ゆち
たくさんの絵の具で描いた自画像の終わりを黒で塗りつぶす夜
我先に青い光に群がって焼けて散りゆく蛾は私です
あの人はただそこに居るそれだけで食物連鎖の頂点に立つ
スカートの丈の長さがどうとかで纏められてく講堂の中
パイプ椅子の規則正しい直線美誰も気付かず講話は続く
川べりをきらきら流れてゆく蛍 豆電球も嫉妬している
アスファルトにしゃがみ込んではつま先の方向をただ確かめていた
髪の毛を指でくるくる巻いてる少女はみんな孤独な仲間
宇宙から便りが来ました今そこであの人海を造ってるって
制服が小さくなった頃すでに女になっていたのよ母さん
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