あの花束は/永乃ゆち
 


愛するほどに遠くなる

貴方は私をやさしく傷付けて

飛ぶ鳥は振り向かないからと言って

背中だけ向けて私の知らない世界へ歩き出す



あの花束は

もう枯れたでしょうね


貴方の為に祈りにも似た懺悔を

星に誓って嘘偽りのない想いを


あのレイトショーは

もう終わったでしょうね


月夜の庭で話したことは全部棄ててください

波打ち際で呟いた言葉は全部忘れてください


貴方の愛する人が私ではなく

他の誰かでもなく

貴方は貴方しか愛せないのだとしても

私は貴方しか愛せないのですから

生きて行く上で
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