通り魔の論理/馬野ミキ
ルールは守らなくてもよい
暴力をふるってもよい
利益にならなくてよい
「それでは社会がなりたたないだろう!」
でも
いまの社会で俺は成り立ってないんだよ
と、マイクは言った
マイクはニュージャージー州の精神病棟に閉じ込められているキチガイなので
彼の意見は広く社会に尊重されなくても仕方ないのかもしれない
施設の近くに湖があり
水鳥が羽ばたくとき
マイクは目を閉じて嬉しそうにした
重度の精神障害者にとって、
国家とは何だろうか?
経済とは何だろうか?
愛国心とは何だろう?
きっと、
どうでもいいものであろう
まったく俺たちを助けてくれない
どうでもよいもの
人々がそれは重要で
大切にし
重んじなければならないと言う
どうでもよいもの。
そうしてマイクのような人間は世界中にいる
通り魔は
殺したにんげんの財布にいくら入っているかについて興味が無い
そういう人間は人類の敵である。
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