熱帯夜/AquArium
熱くて
ねえ
どうしたらいい
すべての思考
ねえ
置き去りの
ことばたち
背中に、
つけられた足跡が
粉雪みたいに
すっとなくなる、
儚さにただ
永遠だけを願う
ねえ
いつまでも
熱い
髪を、
掻き分けて眼を
踏み抜いた
突き刺さる、
切れ長の視線が
泳いでいて掴めない
ねえ
答えて
でも
ねえ
聞こえない
ふりをして
切り返す
身体の端から
蝕んでいく、
これまでの記憶
右肩に、
夢中で口をつける
(もう
誰の湿っぽさも
呼吸も温度も
なにもかも
いらない
いらないから
この瞬間に
殺して
じゃなきゃ
殺しても、
いいかな)
ねえ
軋んでいく
身体の重みと
こころの軽さ
確かなものが
見つからないから
目を、
伏せて
ひたすら、
ひたすら、
君を想う
ねえ
枕に顔を埋めた
はじめて
涙が
止まらなくて
声を上げて
叫んだ
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