火傷/HAL
血液が泡立つのを感じる
でもぼくは病気ではない
風邪を引いている訣ではなく
マラリアに感染してもいない
もちろんぼくは病気ではない
向かいの歩道を歩いている奴に
ちらりと眼をやると同じ表情だ
互いにちらっと目配せを交わす
もちろん奴の血も沸騰している
体温は何度になっているだろう
でも奴ももちろん病気ではない
もう互いに振り返ることはなく
特別に交わす言葉を持ってない
そうぼくも奴もただ若いだけだ
唇から吐く言葉が刃になることも
分かりすぎるくらい分かっている
そうぼくらはただ若いにすぎない
それが若いと云う証だとぼくらは知っている
ぼくらを怖れる奴等は昔の自分を忘れている
火傷さえ負わす流れる汗の熱さと血液の沸騰
ぼくらを怖れる奴等は若いときの自分をただ失ってしまった
熱きもならず冷ややかにもならず飼いならされたただの犬だ
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