火傷/HAL
 
『われなんじの行為(おこない)を知る、なんじは冷(ひややか)にもあらず、
 熱きにもあらず、われはむしろなんじが冷(ひややか)かならんか、
 熱からんかを願う。』《黙示録》
                            


流れる自分の汗があまりに熱すぎる
すれ違い様に腕が触れた中年の男は
呻き声を挙げ腕を押さえかがみ込む

近くのだれかが寄ってきて
凄い火傷だ救急車だと叫ぶ

ぼくには関係ないことだと
ただすれ違った彼奴が悪い

表情も変えずに行きたい方へ
腕時計を確かめ歩みを速める
顔は熱でもう真っ赤なはずだ

そうぼくは沸騰している
血液
[次のページ]
戻る   Point(4)