しとしとと泣く/桜 歩美
 
声を大きくして泣く頃はもう過ぎて

しとしとと降る雨のように涙はいつしか零すようになり

とめどなく響く雷鳴に

心はどんどん堕とされていき

私の笑みは消えゆく



その頃

君はもう巣立っていく

私のことをどうか振り返らずに

そのまま歩いていってください

どうか一人でそのまままっすぐに

振り返らずに歩いていってください



振り返ったら泣いている母のことを

君は置いていくことが出来ないから

だから決して振り返らずに

歩いていってください



元気でねっていうそのときだけは

頑張って笑っているから
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