狩り/結城 希
白く輝く無慈悲な太陽が
干上がった大地から 何もかも蒸発させる頃
私と彼女は
並走していた
灼けるような暑さも忘れ
私たちは
ただ 明日を生き抜くためだけに
疾駆していた
心臓が 休むことなく 鼓動を刻み
全身が血流で満ちてゆく
一歩ごとに
蹴り上げられた赤土が 舞い上がり
遥か彼方へ落ちてゆく
だがやがて私は その感触さえ忘れた
彼女が向きを変え
刹那 私もそれに倣う
何度も向きを変え
それでも私を振り切れない彼女は
焦燥を隠しきれず
幾度目かの跳躍に失敗して
虚しく地面に足を折った
私の爪は
彼女の脚を捉え
背を傷つけ
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