見えない/古月
 
商店街を抜けて駅へ向かう
汗は乾かずに流れる
フルーツパーラーミヤコの文字

よく
祖母とクリームあんみつを食べた
窓際の席で
本当はチョコレートパフェが食べたいと思いながら
頬杖をつき
次に横切る人間が生きているか
それとも死んでいるか
当てる遊びをふたりでする

ガードレールと放置自転車がくせもので
足は見えない
そんなものに頼らなくても
すこし浮いているからね
背の高い女は分かりやすいと
顔を見合わせて笑う
背後で涼しげにドアベルが鳴る
はじめての

肩越しの手に
雨つぶが落ちる
戻る   Point(4)